医療法人の設立をお考えの先生へ
平成19年の医療法改正により、従来の出資持分ありの医療法人の設立はできなくなったかわりに出資持分なしの基金拠出型の医療法人が設立できるようになりました。
医療法人設立後のシミュレーションが大切です。
またメリットとデメリットを十分に検討する必要があります。
メリットについて
節税効果
- 所得税と法人税の税率差により、税負担を軽減することが可能となる。
- 給与所得控除が受けれるようになる。
- 家族従業員の給与が取れる。親族を役員(理事)にすることにより、その職務内容に応じた役員報酬の支払いが可能となり、所得分散が図れる。
- 医療法人の役員が退職する場合、役員退職金を支給する事ができる。
- 医療法人が支払った生命保険料は、損金に算入できる。
- 不動産の貸借が可能(理事長から法人への土地の賃貸)
- 社会保険診療報酬に対する源泉徴収税額が利用できることにより資金繰りに余裕ができる。
- 相続税対策になることもある。
事業展開に有利
- 介護老人保健施設の経営が可能
老人保健施設は個人診療所では認可されません。医療法人であれば認可申請ができます。 - 訪問看護ステーションの経営が可能
- 社会福祉第二種事業の経営が可能
- 介護保険の居宅介護支援事業の経営が可能
- その他の事業
- 医療関係者の養成又は再教育
- 医学,歯学に関する研究所の設置
- 医療法第39条第1項に規定する診療所以外の開設
- 疾病予防のために有酸素運動を行わせる施設であって診療所が附置されかつその職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置
- 疾病予防のために温泉を利用させる施設であって有酸素運動の行う場所を有し、かつその職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置
- 前条各号に掲げるもののほか保健衛生に関する業務
- 保育所の経営
- 乳幼児健康支援一時預り事業
- 高齢者等の生活支援事業
- 介護予防・生きがい活動支援事業
- 在宅介護支援事業
- 有料老人ホームの設置
- 高齢者専用賃貸住宅の経営
事業承継に有利
- 事業承継が容易 理事長、管理者の変更届で完了
- 対外的にも法人の資産、負債の相続手続は必要ない
- スタッフの取扱も変わらない
個人は事業主の変更となり退職扱いとなる
法人は求人募集が行いやすい、職員の定着 - 新法の医療法人で基金制度を設けない場合拠出金は寄付となり、相続財産とならない
社会的信用の向上
- 適正な財産管理が可能となり、強い経営体質が可能となる。
- 院長個人と法人の資金が明確化されます。
- 金融機関等への対外的信用が向上する。
デメリットについて
医療法改正による追加項目
財産帰属先が国・地方公共団体・郡市医師会・他の持分の定めのない医療法人
- 基金制度を設けない場合設立当初の運転資金は院長先生の寄付となります。
- 監事の職務責任が財産の状況監査に加え理事の業務監査が追加されました。
- 事業報告書等の都道府県での開示閲覧
デメリットの詳細
- 都道府県知事の指導監督権限が強化される。
- 不動産の買い占め、不動産賃貸業、株式と売買など法律でさだめる
付帯業務の範囲を超える事業を行っている場合には、事業の中止を命じられる。 - 決算終了後、資産の総額変更登記、事業報告書を都道府県知事に届け出なければならない。
- 剰余金の配当が禁止されている。
- 理事長には、非医師または、非歯科医師はなれない。
- 従業員の人数に関わらず、社会保険への加入が強制される。
医業法人設立のスケジュール
医療法人を設立するまでのスケジュールは、各都道府県、申請時期にもよりますが、全ての手続きが完了し医療法人としての診療をスタートさせるまでには、通常半年~10ヶ月程度の期間を要します。
下記に半年~10ヶ月
1. 設立要件の確認
2. 都道府県との手続き・法務局との手続き
3. 保健所との手続き
4. 厚生局との手続き