納税資金対策
相続財産に預貯金・生命保険・投資信託などのすぐに換金できる資産等の納税資金が充分あればいいのですが、土地や建物等の不動産がほとんどで、預貯金が少ししかない場合、現金で納税することが困難となり、納税が困難となり、相続破産となるケースもあります。
相続税は10〜55%とかなり高い税率です。高額に相続税がかかると予測される場合は、承継対策と納税資金対策をしながら、節税対策にも効果があるというような取り組みをするのが最良の相続対策です。
納税資金対策の方法
1. 生命保険金を利用する
(1)相続税の非課税枠を活用する
故人が保険料負担者でかつ被保険者のときの死亡保険金には500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。
(2)納税資金に利用できる
相続時に必ず現金が入る生命保険(終身保険)が納税資金確保の手段として有利です。
2. 土地・建物の処分することで、納税に必要な金銭を確保する
不動産が多い場合、不動産を処分して納税資金を確保しておく方法がありますが、必ずしも第三者へ処分する方法だけでなく承継者や会社に処分して納税資金を確保する方法もあります。
3. 退職金を利用する
退職金も非課税枠があり、節税対策にもなり会社名義で生命保険金に入って、相続時に退職金として支給出来るようにしておけば、納税資金対策になります。
4. 延納を利用する
不動産など金銭以外の財産なため、納期限内納付期限(相続開始の翌日から10カ月以内)までに相続税を金銭で一括納付することが困難な場合、その納付を困難とする金額を限度として年払いでの納付が可能である。
(納付税額10万円超の場合)
担保が必要(延納税額が100万円超・延納期間が3年超の場合)で、利子税もかかります。納付期限までに延納申請書を提出し、税務署長の許可を受ける必要があります。
5. 物納を利用する
延納によっても納付すべき相続税額を金銭で納付することが困難な場合、金銭で納付することが困難である金額の限度内で物納(土地や株式などで相続税を納付)することができます。 納付期限までに物納申請書を提出し、税務署長の許可を受ける必要あります。
6. 納税猶予を利用する
農地や山林、同系列会社で相続税の負担の重さにより後継者が経営困難となり、農地や山林の売却や会社の閉鎖を余儀なくされる可能性があります。
農地や山林、非上場株式については一定の条件を満たすことにより、相続税が猶予(免除)されます。 この制度を利用すれば、後継者は高額な相続税を支払うことなく経営を承継できます。